私的な温泉旅のページ

能登屋旅館

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  この日お世話になる宿は「能登屋旅館」である。個性豊かな木造旅館が建ち並ぶ銀山温泉の中にあって確かに目立つそれは、一見すると両翼は三層、中央部が五層にそびえ建って見える大胆な作りである。
しかし実の所「能登屋本館は木造四階建」であり、四階部分は敢えて見えない様に後ろに退いていて、中央部の望楼(談話室)が迫り出して作られている。
そして、その四階談話室の上に櫓を組み五層目の方形屋根を載せることで、対岸から見た時に「五重の塔」を思わせる、巧みな匠の技が銀山温泉を代表する旅館建築の地位を揺るぎないものにしている。
 「能登屋本館」が竣工したのは1921年(大正10年)で、現在は国の登録文化財であり、外部仕上げの刷新や構造補強の他、内装や設備も改修が施されている。
そして今回泊まった客室は、川に面した本館三階の北東角部屋(春雨)で、八畳二間続きの各々に床の間を備えた重厚な和室で当時の雰囲気を損なわない様に、でも快適さも備えた改修がなされていた。
そして他の客室についてだが、全部で十四室ありその内訳は、本館の二階に四室と三階に四室、及び別館の二階に六室であるが、能登屋を見に来る観光客の目線が気になる方は別館を選ぶとよい。
 つぎに宿全体の配置と階層だが、本館の北側が川に面していて、南側に裏山があり、その高台に別館が建つため、別館の一階が本館の四階とおだじ高さで、南北に貫く廊下で繋がる、その廊下の北端には望楼(談話室)がある。
因みに本館の四階と別館の一階はそれぞれに食事処が有る他、東側に位置する露天風呂付きの浴室棟と繋がる為、床面積も一番広いプロムナード・フロアになる。
 最後に浴室だが、メインの浴室棟の他に本館の地下に貸切りの「洞窟風呂」と別館の二階から裏山に通じる階段通路をひたすら登り、外に出た所に山小屋風の半露天風呂がある。予約制なのでチェックインの時に予約すると良い。

三階の望楼
二階の望楼
四階の望楼