私的な温泉旅のページ

法師乃湯

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 「法師乃湯」は”法師温泉長寿館”のアイデンティティーと歴史が凝縮した空間だ、明治28年に建築され英国人設計氏の手によるものと聞く。当初脱衣所は無く直接浴場へ入り、腰壁の脱衣棚へ浴衣を置いて入浴する、今もそのスタイルを宿は推奨している。
兎も角この浴室に入ると其処は非日常の空間で、太い梁と高い小屋組、アーチ常のフレームウィンドウ、腰壁の脱衣棚、そして田の字に四分割された升型湯船と枕木、お湯のオーバーフローの額縁樋など、これらの設が百数十年の時空を超えた感覚を現代の我々に与えてくれる奇跡の空間と言える。
付け加えると、真摯に手入れと修繕を重ねており、玉城の湯を増築する際に耐震補強も実施されたようだ。
それは、極力現状を変えずに施され、屋根を支える大梁をうける柱の更に外側に鉄骨の丸柱が支え基礎も補強しているが、とても上手く改修していると感じた。

 余談になるが、このタイプの湯船の手入れ(清掃)はどうしているのか?。また湯船の縁から溢れ出す水位の維持については?。とても気になり宿の人に教えて頂いたが、定期的に底石を浚い、滑りを洗い磨いて同じ浴槽に戻すとのことであった、その頻度は聞いてはいない。
そして水位の維持については別の源泉から引き湯して、湯を足す事でかけ流しを実現している。