私的な温泉旅のページ

奥山田温泉満山荘

Okuyamadaonsen_Manzansou

長野県上高井郡高山村

●「奥山田温泉」満山荘
 初めて宿泊したのは2005年2月、スキーを目的に訪れたのだが、到着して取り敢えず温泉に入り、湯上り後ラウンジでマッタリしていたら座り心地の良い椅子と居心地の良さで、気分は湯治モードになってしまった。
スキー場に来て吹雪や怪我以外で全く滑らなかったのはこの時が初めてであった。

 宿の規模としては、客室は10 室くらいの家族経営で、初代宿主の文四郎さんが北アルプスの山並みに魅せられ高山村山田牧場の地にペンションを拓いた。
宿の立地はYAMABOKUワイルドスノーパーク(旧、山田牧場スキー場)の西側に位置し小高い丘の西側斜面に立つ。
遠く北アルプスを一望できるその場所は文四郎氏にとって理想の地であったと思う。
その後スキー場周辺の宿の方々と地域活性化の為に組合を結成、数キロ離れた松川沿い五色温泉の上流に源泉井戸を敷設し、標高差300m /配管距離約1500mの引湯を1979年より開始した。
この時より山田牧場温泉「奥山田温泉」の歴史が始まる。(文四郎氏の手記より抜粋)
なお温泉については、硫化水素泉で源泉温度96℃高温の源泉の為、引き湯しても温度が保たれ、高台の共有タンクより12、13軒ほど有る宿に配布される。

 初めて訪れた2005年には、新本館も完成しており、その本館の二階南西角部屋に泊まったのだが、第一印象はとても見晴らしが良く、山並みを気持ちよく望むための工夫が施されていた。
それは、畳の和室だが二階の床より腰掛分の高さがあり、ベットの様に既に寝具が敷かれていて、とてもゆったり広い上がり座敷だ。(従来の温泉旅館の様な布団の上げ下ろしや、部屋食給餌のサービスは無い)
そして窓際のリビングは二階の床より数段低い位置にあるが、ソファーに座っても開口からの見晴らしが良好で、座敷の畳に座ってもリビングとを仕切る座机越しに山並みを見渡せる。室としては3名様用でゆったり出来る広さであった。


 そしてこの宿の魅力としての食事についてだが、夕朝食共、専用の食事処「風土」で頂く。食事は地元の素材を多用し田舎料理に拘らず現代的な感覚に満ちた料理で、また焼きたて揚げたてを大切にする給餌を行なっていて、とても美味しく頂けた。
兎も角も「湯、食、住」がバランスよく、何度も訪れたくなる宿であった。

 次に2008年に訪れた時には旧浴室棟の改修工事と新浴室棟が完成し、趣きの異なる二つの入浴環境が整っていた。
因みにこの時は初回と異なるランクの部屋に宿泊した。
山側、別館の和室で新本館の様な凝った設えではなく、普通に平らで畳と広縁にソファーが置いてある部屋であったが、とても広い部屋であった。
窓からの眺めはと言うと、本館の屋根越しに北アルプスを望めるが、やはり本館の景色には及ばないのは建物の配置と価格で予想はついていた、でも初めての宿泊でこの部屋に泊まったとしても満足度は高かったと思う。

 宿の施設の配置だが、西向き斜面の中央に西側に正面を向けた新本館はあり、その一階に玄関、ラウンジ、食事処、厨房、二階は客室と、一部家族室、山岳写真の展示するパブリックスペースを備える、そして本館後方、つまり東隣の斜面上段に平家建の別館客室棟が建つ、そして本館南側に新旧二棟の浴室棟が繋がる、浴室棟には各々山並みを望める露天風呂を備える。それらは初代、二代目と宿主のこだわりを具現化した作りだ!。
先ず初代宿主の手による浴室は当時の山の宿の雰囲気をそのままに、男女に分けていた仕切りを外し一室に整え、屋根は一部半透明の屋根材とした明るく広々しつつも秘湯感を纏った浴室で、古くからのリピーターを意識した作り。
次に新浴室棟は、壁などに暗い色の素材を用い、また床は白い大判タイルを用いコントラストを強調したかなりurbanで現代的な雰囲気でだが、でも何故か癒される温もりを感じさせる空間だ。

現在、「伊奈里館」に引き継がれた以降は客室の改修や露天風呂付の客室の増築など行い更なる充実を図っている。
ともかくとても良い環境だったので、近年この宿に訪れたい考えている。