私的な温泉旅のページ

湯浴み処について

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●岩の湯の浴室について

 名物洞窟風呂の大浴場「仙人風呂」のほかに貸切風呂が4カ所ある。 
「家族風呂」「風姿の湯」「野守の湯」「夢想の湯」各々特徴が異なるが、家族風呂以外は露天風呂を備える。
これら各浴室の作りも一般的な新建材を避け、天然素材を吟味して使っている。
天井や壁は木材が主だが野性的な仕上を採用、壁や腰壁、床、湯船には、地元長野県産の石が用いられていると聞くが、深岩石や十和田石などに似た凝灰岩や、信州真石などの鉄平石が使われていて、他に玉石や細かいモザイクタイルや、人研ぎテラゾウなどを用いて質の高い”非日常”の入浴空間を目指して作られている。
なお、離れの客室に付く浴室の内装は主に大理石仕上げで、湯船は既製のバスタブを用い豪華な家庭風呂の程だ。
そしてもう一つ注目点としては、浴室内の洗場には“鏡”が設置されていない。
それは浴室内での髭剃り等の禁止を暗示していると感じた。確かに刃物の持込禁止は安全面でも良いと感じた。
(但し明確に禁止はしていない)
また浴室の鏡は夏場を除いて結露で曇る。 実は自分でも無意識に結露を取る為シャワー等でお湯を掛けている、しかし結局はぼやけて滲んだ鏡像になるのだが、、、。
確かに湯温が高い銭湯なら、湯船より長い時間洗い場に居てヒゲも剃るだろう。
日常の入浴空間で鏡は必要なアイテムであるとも思う。
しかし、癒しや寛ぎを旨とし頭を空っぽにするのなら鏡は不要ではないか?。
洗い場に鏡があって当たり前という既成概念を見直す時期が来ているように感じた。
フェイスケアは洗面台、身体洗浄はシャワー室、そして心の癒しとしての入浴空間。
用途ごとの明確な空間分離は”寛ぎ”を旨とする湯浴みの場を造る上で基本だと思う。
”岩の湯”の浴室で「寛ぎの湯浴みとは何か」を気付かせてくれた事は確かだ。

●岩の湯の源泉について
 源泉について一般に公表されている情報は(単純泉、34度、毎分400ℓ)であるが、他にもボーリングした源泉として(弱アルカリ性低張性低温泉)33.6度 毎分175ℓ、湯船には加温投入と「家族風呂」の中に記載されてあったが、この源泉と洞窟源泉を合わせた総量が毎分400ℓなのであろう。
この湯温は、ほんの少しの加温で適温になるし長湯に適した湯温ではある。

仙人の湯

大洞窟風呂
○仙人風呂
 “岩の湯”名物「仙人風呂」だが、男女別の内湯と混浴の洞窟風呂からなる大浴場だ。
位置的には北棟の「千寿亭」の一階に作られておりその概要は、全て混浴ではなく男女別の脱衣室と男女別の浴室があり、各々の浴室から”洞窟風呂”のある混浴ゾーンへ入る流れになるのだが、専用の湯着を着用しての入室となる。
まず入り口には「岩窟仙人風呂」と刻まれた銘板の掲げられ、男女左右に分かれた暖簾を潜り脱衣室へ。そこは木をふんだんに使った上品で落ち着いた空間だ、この脱衣室には貴重品入れ、洗面カウンター、ウォーターサーバー、トイレ及び、タオルやドライヤー、他アメニティーが備えられている。また、男女別の浴室は各々雰囲気が異なる。女性内風呂は明るく開放的な作り、男性内風呂は閉鎖的だが静寂感のある空間にしている。
 男性用内風呂の詳細は、入ると直ぐ左手の壁沿いに掛け湯、上がり湯用の湯溜めがあり、右側には寝湯の付いた石貼りの湯船がある。そして奥の突き当たりに洗い場、その左側は丸太の列柱とガラスのスクリーンで仕られた半露天の石風呂が有る。因みに洞窟風呂の入り口は半露天風呂と掛け湯用湯溜との間で、入り口の脇に棚があり使い切りパンツと腰巻が備えられている。
 混浴の洞窟風呂については、建物として作られた部分と、山の中腹に穿たれた部分に分かれている。男女各々の浴室から中に入って直ぐは、男女別に仕切られていて、各々に少し深めの湯船があり、加温された湯が注がれており天井のトップライトからの光で湯船は青く輝く。此処で体を温めて奥へ進むもよし、夏場なら涼を求め奥を目指すもよし。少し奥に行くと列柱が数本有り見せ場としての滝が作られている。その辺りから湯船の床には細かい砂利が厚く敷きつめられ其れは洞窟の奥へ続くのだが、分厚い擁壁の開口部を潜った奥で左右に分かれいて、左側は穏やかな静の洞窟で、奥行きは約10m、流れも少なく突き当たりには広がりがある。また右側は動の洞窟で、大量の源泉が湧き出してきており洞窟内に沢音が響く、奥行き約30mあるらしい、奥に進むと所々堰があり徐々に登っているが、湯船としての水深はたもたれている。更に奥には滝があり這い上がると堰きでまた湯船が作られている。この辺りから徐々に暗くなり、最深部は完全に暗闇なので閉所恐怖症の方は負担を感じる空間となるが、穴蔵好きには堪らない空間だ。